ティロ脳

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“まどかを覚えていたい”との願いで、リボほむは魔法少女となった ~ 異説 悪魔ほむら論(1/3)

 あまりにも衝撃的だったデビほむの登場。妖艶なコスチューム、やたら壮大な発言、キャラ豹変(悪魔と合体してデビルマンとなった不動明を彷彿とさせますね)などもあいまって、悪魔ほむらに対しては「何か知らんけど、悪魔ヤベエ」というイメージだけが一人歩きしているような気がします。
 しかし、デビほむが実際どれほどヤバイ能力を持っているのか、その正体は何者なのか、今はまだ多くの謎に包まれています。そこで、今私たちが知りうるものに妄想を交えて、理論的な説明を試みてました。
 キーワードは「記憶」です。これはこれで辻褄が合わない所が出てきますが、逆に今まであまり注目されてこなかったものが拾えそうです。細かい所には目をつぶって、行ける所まで行ってみたいと思います。
 なお今回は、今までの考察を発展させた部分もあります。一部内容の重複がありますことをご了承ください。



 最初に、なぜ私が「記憶」をキーワードと考えたかについて述べさせてください。過去の記事の中から2箇所を、一部修正の上再掲します。


 「……あなたが、もう二度と会えないほど、遠いところへ行っちゃって、なのに世界中のだれもかもがそのことを忘れちゃって、私だけがまどかのことを覚えているたった一人の人間として取り残されて……そのうちまどかの思い出は、私が勝手に作り出した絵空事じゃないかって、自分自身さえ信じられなくなって…」
 彼女が強調したのは、まどかがいなくなってしまったことではありません。世界中の誰もがまどかのことを忘れ、かつ自分自身もが忘れそうになってしまったことです。これが一番耐えがたかった。
 また本編12話では、概念と成り果てたまどかが「この世界に生きた証も、その記憶も、もう何処にも残されていない」ことに対して、「これじゃ、死ぬのよりも、もっとひどい……」と嘆いています。
 ほむらの一貫した思いです。


 「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど、だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。それを、覚えてる。決して、忘れたりしない。だから私は、戦い続ける」
 ほむらはこう誓い、改変後の世界を生き続ける決心をしました。それが手の届かない遠くに行ってしまったまどかにしてあげられる、唯一のことだから。そして、ただ一人まどかを覚えていることで、彼女の特別な存在でいられるから。
 しかし『叛逆の物語』直前の彼女は、まどかを忘れその存在を疑うという、一番自分がやってはいけないことをやってしまいました。これは、まどかに対する最大の裏切りにほかなりません。
 そんな自分自身に対する憎悪はやがて絶望となり、一挙にジェムを限界まで濁らせたのではないかと、私は思うのです。


 さらに一節を書き加えます。
 世界の誰からも認識されず忘れ去られてしまうことは、あまりにも孤独です。しかし概念となり果てたまどかは、そのことについて最後まで触れませんでした。「これからの私はね、いつでもどこにでもいるの。だから見えなくても聞こえなくても、私はほむらちゃんの傍にいるよ」と、片方向のコミュニケーションを強調するのみ。彼女自身も、ほむら以外の人から自分が忘れ去られるのは諦めてしまっているようです。
 しかしほむらは諦めませんでした。改変後の世界を生きながら、ずっとずっと答えを探し求めてきました。そして、あの「叛逆」に辿り着いたと思うのです。



 それでは、本題に入ります。
 デビほむの能力を解析するには、その前の状態から時系列に沿って順番に考えた方が、理解しやすいと思われます。なぜなら、細部にわたってきっちりと因果関係を積み上げながら進むのが、まどマギという物語だからです。そこでまず、まどか改変直後のほむら、いわゆるリボほむから見ていきましょう。全ての基礎があるはずです。
 リボほむについて分かっていることは、ただ一人改変前の世界の記憶を保持していること、時間操作の能力が失われていること、そしてまどか同様に弓を武器としていることです。それぞれについて、細かく検証してみます。


 改変前の世界で、ほむらは「私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」との願いで魔法少女になりました。しかし、改変後の世界に鹿目まどかは存在しません。誰の記憶や想像の中にもありません。先の願いはありえない願いなのです。したがって、この願いで魔法少女になった暁美ほむらは、改変後の世界には存在しないことになります。
 改変後の世界でのほむらが時間操作の能力を待たないのは、これで説明できるでしょう。魔法少女の固有魔法は、契約時の願いに応じて獲得されるからです。


 さて、存在しないものを記憶しているとすれば、その記憶は偽物です。それこそ「頭の中にしかない夢物語」でしかありません。しかし、ほむらが持つまどかの記憶は本物でした。その物的証拠として、まどかから託された赤いリボンまで持っています。
 何度も言いますが、改変後の世界においてこれはありえないことです。ありえないことが実際にあるとするならば、それは奇跡が起きたことにほかなりません。
 この物語で奇跡を起こす方法はただ一つ。インキュベーターに願いを告げて、契約することでした。つまり、改変後のほむらがまどかの記憶を持っているという奇跡を起こすには、「改変後もまどかのことを覚えていたい」との願いでほむらが契約しなければなりません。この経緯があってはじめて、リボほむは改変後の世界に存在できるのです。
 また、この願いにより獲得した彼女の固有魔法も、記憶に関連するものであることが予測できます。


 なお余談になりますが、改変後の世界には元々、まどかを知らないほむら(B)が存在していた可能性があります。しかし、彼女がどんな人なのか、私たちが知るすべはありません。ほむら(B)の記憶は、改変前の世界から来たほむらの記憶に取って代わられるからです。もしほむら(B)が魔法少女になっていたとしても、願いに応じて獲得した固有魔法は、記憶と同時に消滅していることでしょう。

 

 う~ん、説明が難しいな。一応今言った所も含めて、「ほむらの体感時間」という図で整理してみました。これで少しは分かってもらえるでしょうか?
 ……しかし、すげー時間の辿り方してるな、この子。



 それでは、リボほむの弓から、彼女の固有魔法を推察していきましょう。
 ほむらは、まどかをはじめとする前の世界の記憶をそのまま持って、改変後の世界を生きはじめます。厳密に言うと、改変後の世界において、まどかの記憶を持つという奇跡が起きた瞬間からが、改変後の世界での人生ということになります。
 だとすれば彼女は、改変後の世界の情報や交わされた契約の記憶がありません。つまり魔獣の存在も、それに対抗する固有魔法や武器も、何も分からない状態で新しい世界に放り出されたことになります。ほむらも相当困ったと思われます。


 これは全くの想像ですが、得体の知れない敵に対峙して、ほむらはまどかに祈ったのではないでしょうか。
 「私、時間操作の能力を失ったみたいなの。どうしたらいい? 教えて、まどか……」
 そうしたら、ボンッと弓が現れて「そうなのね! ありがとう、まどか!」
 まあ、こんな感じだったかどうかは分かりませんが、ほむらはよく分からないままに弓という武器を得て、魔獣と戦い始めたと思います。
 この現象を記憶というキーワードから読み解くと、ほむらの固有魔法が見えてきます。多分彼女の固有魔法は、記憶を具現化することではないでしょうか。まどかが戦う姿を思い出すことで、まどかの武器である弓を具現化させたのかも知れません。公式の発表は無かったと思いますが、その後の彼女も見ても、多分この線が濃厚だと思います。
 ただこの段階でのほむらは、まだ自分の固有魔法が理解できていなかったと思われます。



「まどかの記憶を巡る暁美ほむらの戦い ~ 異説 悪魔ほむら論(2/3)」 「強大すぎる魔力がもたらした代償 ~ 異説 悪魔ほむら論(3/3)」に続きます。




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