ティロ脳

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世界の改変・契約による奇跡・時間遡行 ~ まどマギから考える時間の多次元構造(3/4)

 「暁美ほむらの時間遡行を、三次元時間で説明してみる」「鹿目まどかは本当に神になったのか」の続きです。
 今回は、まどかとほむらによる2度の世界改変、インキュベーターとの契約による奇跡、ほむらの時間遡行という事象について、因果律への影響と時間の多次元構造を当てはめて、それぞれの説明を試みたいと思います。



 まず、まどかによる世界の改変です。
 世界が改変されるためは、全ての時間軸において、因果律に反する介入が必要だと考えられます。実際まどかの願いにより、それまでの因果関係を超越して、全ての場所と時間の魔女が生まれなくなりましたし、まどか自身も消滅してしまいました。このことにより、因果律の破綻が起きて時間が断絶。それに伴ってそれまでの世界が消滅し、新しい因果律に対応した世界が生まれたということで、世界の改変が説明できると思います。(図⑦参照)
 キュゥべえは改変の原因を、希望と絶望の云々で説明していますが、ことはもっと単純に、「因果律そのものに対する極めて大規模な叛逆」があったためと考えるだけで十分なのかも知れません。



 次に、ほむらによる世界改変です。
 こちらも、「過去の記憶にも未来の可能性にも存在しない」まどかを現存させたことと、さやかとなぎさをこの世界に残したことが、「因果律そのものに対する大規模な叛逆」をもたらし、それが時間を断絶させて、世界の改変が起きたと考えられます。ただ、因果律の破綻がその時間軸だけの出来事であれば、改変が他の時間軸には及んでいないかも知れません。このあたりは、なぜ彼女はまどかを裂く力を得たのかといった疑問を含め、もう少し詳細が分かってからでないと、断定は難しいでしょう。
 いずれにせよデビほむの影響力は、全ての場所と時間に及んでいるわけではなさそうなので、八次元にあるまど神と並び立つような、大それた存在ではないことは確かです。


 続いて、インキュベーターとの契約による奇跡についてです。
 これはちょっと説明がつきにくいのですが、要はごく局地的に生じた因果律に反する小さな矛盾を、この物語では奇跡と呼んでいるのでしょう。
 矛盾が小さかったので、その時間軸の時間を断絶させるには至りませんが、何らかの問題が生じる可能性はあります。そこで、「どんな希望も、それが条理にそぐわないものである限り、必ず何らかの歪みを生み出すことになる。やがてそこから災厄が生じるのは当然の節理」とのキュゥべえの言葉通り、因果律の矛盾に対する自動的な解消が、災厄という形で起きるのかも知れません。


 最後にほむらの時間遡行についてです。
 時間遡行にはいくつかのパターンが考えられますが、遡行先の世界でその人が二人存在するというのは、あまりにも因果律に対する矛盾が大きくなります。また、遡行先の肉体と意識がすり替わったとしても、1ヶ月間でいくらかの肉体的な変化はあるはずなので、何らかの矛盾が生じると思います。
 逆に、一番矛盾が少ない方法は、遡行者の意識だけが遡行先の意識とすり替わることでしょう。しかしこれだと、ほむらのループ2週目の冒頭で、彼女の手にソウルジェムが握られていたことが説明できません。そこで、彼女の記憶を持ったソウルジェムだけが時間遡行する、という方法が妥当だと考えられます。
 それでは、ほむらの時間遡行は、遡行先の世界に歪みを生まなかったのでしょうか。一見そのようにも見えますが、周回を重ねるごとにワルプルギスの夜が強力になる事実、4週目以降のまどかが最強の魔法少女(=最悪の魔女)になるという事実が、もっとスケールの大きい歪み(災厄)を表していると考えられるかも知れません。
 やはり、条理にそぐわない奇跡は願うものではないという設定が、ここでも生きているのではないでしょうか。




少女たちの願いは、なぜエントロピーを凌駕するのか」に続きます。





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